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この小説は以前、冬休みの企画として書いたものでした。
 
内容は高校1年生時のarizonaの恋愛です。
 
もちろんノンフィクション。
 
会話の内容やらもほぼ完璧に再現しています。
 

若かりしころのarizonaを覗いちゃってください(笑)
 
 
「Narratage」~導入部
 
「Narratage」~前編

「Narratage」~後編

 
でもね、

「こんなんいちいちクリックしてくのメンドクセー!」
 
っていう人用に、read more...より小説本文を用意してますので(笑)
 
というか、正直こっちのほうが読みやすいです。
 
いらない部分は削ってますからね。
 
だから、
 
右下のread more...から
 
読んでください^^


 

導入部


みなさん。

やりましたよ。

遂に人気ブログランキング1ページ目に掲載!!

うれしいですよ、ホントに。夢のようですね。

ブログを始めた当初は1000位より下で、ランク外でした^^;

それが今46位

みなさんの応援のおかげですよ。今年をいい形で終えられそうです。

 

この冬休みを何の目的も持たぬまま過ごしてしまうのはあまりにも時間の無駄なので、とびっきりの企画を用意したんですよ。

題して、

 

あのころ俺は若かった 1年前の恋愛あますとこなく暴露しちゃうよ

 

どんな企画かといいますと、1年前にした俺の恋愛エピソードを小説形式にして発表しちゃおう、というものです。

もちろん完全ノンフィクションです。

メールの内容もそのまま!!俺の記憶フル活用して小説化!!

 

ただ、プライバシーは守らなければいけないので仮名にします。

仮名といってもすぐにいいのが見つからなかったので、あの超有名小説の登場人物名をそのまま拝借(笑)

これっていいのかな??

 

・登場人物紹介

arizona→松本朔太郎

相手→広瀬アキ

ここでは便宜上、広瀬アキが松本朔太郎を呼ぶときには「朔ちゃん」ということにします。

だって「朔太郎」じゃ変でしょ?原作でも「朔ちゃん」だし。

 

タイトルは、

Narratage(ナラタージュ)に決定!

完全に島本理生さんの「ナラタージュ」をパクッてます(笑)

※ナラタージュとは、映画などで、主人公が回想の形で過去の出来事を物語ること。

 

実はもう、少しだけ書いていているんです。

ということでNarratageの最初のちょっとを公開!

 

 今思うと、他人のことみたいだ。
 1年前。まだ何もわかっていなかった。幼くて、でも少し余裕ぶった、そんなとき。それは濃くて、さらになんていうか甘くて・・・あまりにも短い。
 夢のような一瞬。一回の瞬きさえ許さない、駆け抜けていた時間。夢なら覚めないでほしいと願った。
 初めて味わった想い。多分つらかったんだろうな・・・。だって今では懐かしさしか思い出せないから。

 

はい終了~♪

どうですか??気になってきたでしょ!!

でも、ただ公開するだけじゃ面白くない。俺はそう考えるわけですよ。

じゃぁどうしようか・・・。

こうします!

人気ブログランキングで25位以内に入ったら公開!
 
 
現在、鋭意執筆中


↑これで無事に25位以内に入ったんです^^; 




前編

 

松本朔太郎のセリフはで。広瀬アキのセリフはで、になってます。

物語の中にメールや電話でのセリフがあり、それらにはかっこつきで示しているのでわかると思いますが、直接の会話の場合は何も示していないので注意してください。

 



 今思うと、他人のことみたいだ。
 1年前。まだ何もわかっていなかった。幼くて、でも少し余裕ぶった、そんなとき。それは濃くて、さらになんていうか甘くて・・・あまりにも短い。
 夢のような一瞬。一回の瞬きさえ許さない、駆け抜けていた時間。夢なら覚めないでほしいと願った。
 初めて味わった想い。多分つらかったんだろうな・・・。だって今では懐かしさしか思い出せないから。

(メール)
俺明日講習行けないわ。風邪引いちゃってね。広瀬の席って俺の後ろでしょ?
うん、そうだよ。っていうかまたサボりじゃないのー?
違うよ。ホントの風邪。なんなら明日行って風邪うつしてやろうか?(笑)勉強頑張れよ~。

 ふぅー。でもホントに風邪引くとはなぁ・・・油断していた。これじゃ大好きな勉強が出来ないじゃんよぉ。まぁ嘘だけど。
 今まで気づかなかったけど、広瀬って結構話しやすい奴なんだな。鈴木に広瀬のアドレス聞いといてよかった。でもそういえばあいつニヤニヤしてたな・・・。ってか別に好きなわけじゃないからな。ん?でも広瀬と付き合うっていうのは・・・いいかもしれない。
 俺はこれまで、同じ学校の人と付き合ったことがなかった。初めて付き合ったのが遠距離恋愛(俺はもともと横浜に住んでいて小3のときに札幌に転校してきたのだが、中1の正月に横浜の友達から、以前俺と同じクラスだった女子が北海道に引っ越した、という年賀状が来てその女子に連絡してみたところ、仲良くなって付き合うという形になり、月1回のペースでデートをする。中2の4月から付き合い始めて中3の冬に自然消滅。)の人で、二人目は違う高校の人だった。今まで同じクラスの人とかを好きになったことがないわけではない。でも、すごい好き、というわけではなかったから学校では何事もなく過ごしてきた。

 長い冬休みが明けた。

(メール)
明日って授業変更あったっけ?
あるよぉ。松本聞いてなかったの?先生のはなし。3時間目の古典が5時間目の数学とチェンジしただけだよ。
おぉ、そうかそうか。さすが優等生だな。ありがとー。
それは松本が問題あるだけでしょ。じゃぁおやすみ~。

 なんか最近日課になってきたな。広瀬とメールするの。このままもしかしたら広瀬と付き合えるかも・・・?可能性大だな。

 天気予報ではくもりのはずなんだけど・・・。午後3時の空は白く、雪だらけだ。薄暗い教室との対比が目に痛い。生物教師の無機質な声が教室に響いている。この時間は生徒にとって一番眠たいときだ。このあと部活に行くなり家に帰るなりするための力を蓄えておく眠り、といってもいいだろう。少なくとも12人は寝ている。
 あー、ヒマだ。でも寝れそうにないしな。そこでふと広瀬をを見た。寝る気配を微塵も見せずに黒板の文字を写していた。さすが優等生。
 突然ある考えが浮かんだ。今ここで広瀬に告白したらどうなるんだろう?こんなことは、お笑い番組の企画でも出来ないことだろう。それにメールだから周りに知られることもないし。

(メール)
授業に集中してるところ悪いね。でもどうしても早く伝えたくて我慢できなかったんだ。驚かないでね。実は俺、広瀬のことが好きなんだ。
 
 机で隠しながらメールを送信したあと、広瀬の様子をうかがった。何秒か経ち、広瀬はポケットの中で震えている携帯電話を取り出し、おそらく画面に映っているであろう名前を見て、俺を振り返った。そして文章を読み終え、目を閉じた。何を考えているんだろう・・・。しかし、広瀬の横顔からは何も読み取れなかった。

 昨日俺は部活をサボり、友達とカラオケに行っていた。当然顧問にはサボリとは伝えておらず、風邪、ということになっている。今日は部活はないのだが、昨日休んだ分自主練しようと思って顧問にそのことを伝え、誰もいない廊下に行った。
 俺が所属する陸上競技部は、18年連続インターハイ出場という輝かしい記録を現在も更新中なのだが、その記録を作った顧問が1年前違う高校に転勤してしまったため、現顧問が引き継いだ。現顧問は学生時代、北海道の大会で優勝したことがあるらしく、今でもしきりに過去の栄光を自慢する。しかし指導方法は最悪で、18年続けた輝かしい記録をそろそろ途切れさせるだろうということは誰もが予想していることだった。
 軽くランニングを終え、ストレッチをしていると、廊下の端に置いていた携帯電話が鳴った。見ると広瀬からだった。

(メール)
さっきは返事できなくてごめん。でもこれから家の用事で出かけなくちゃいけないんだ。松本は9時には家着いてるでしょ?その時間にまたメールするね。部活頑張って!


 家に帰って風呂に入り、夕食をとった。食べながら、クイズ番組を流し見ていた。部屋に戻り、時計を見た。もう9時半だ。あのメールを思い出し携帯電話を開くと、やはり来ていた。

 このとき俺は、振られるんじゃないか、という緊張・ドキドキには程遠い精神状態だった。むしろ、純粋な期待感でいっぱいだった。授業中に告白するなんていう遊び半分なものにさえ罪悪感を感じていなかった。ただ、ゲーム感覚だったということは覚えている。

 広瀬からのメールにはこう書いてあった。

(メール)
松本の気持ちはすごいうれしい。でも私、まだ言ってなかったけど、実は付き合ってる人がいるんだ。だから松本の気持ちには答えられない。ごめん。でも松本とはこれからも仲良くしていきたいし、気まずくなって話さなくなるのもいや。なんか自分勝手だね。でもお願い。

 俺は大してショックではなかった。それは、「はぁ~、振られたか」ぐらいの気持ちだった。そして少し間も置いてメールを返した。

(メール)
付き合っているのか・・・。まぁ広瀬かわいいもんね。そりゃ男が放っとくわけないか。こっちこそごめんね。急に告白したりして。俺も広瀬とは仲良くしていきたいな。だからこれからもよろしく!


 普通、告白して振ったり振られたりしたら、お互い気まずくなって避けるようになるに決まっている。しかし俺たちの場合は逆だった。この告白以来、急速に関係が深まっていくことになる。

 席替えがあり、偶然にも広瀬と席が近くなった。それからというもの、休み時間のたびにしゃべり、授業中にはふざけあい、ほぼ毎日メールをしていた。あとから鈴木に聞いた話によると、このころ俺たちのことが噂になっていたらしい。
 毎日があっというまに過ぎていった。もう何もかもが楽しく思える。そして段々と気づいていくことになる。広瀬のことを本当に好きになっていく自分に。今度は嘘偽りなく。でも好きになればなるほど苦しくなった。なぜなら広瀬には彼氏がいる。これ以上好きになっても自分がつらくなるだけだ、と言い聞かせ、広瀬を友達としてみようとするができない。ますます好きになっていくばかりだった。

 

 





後編



 部活が終わり、すっかり暗くなった帰り道。今日の最高気温は確か-2℃だったな。誰もいない公園。雪にすっかり埋もれ、遊具も使えない状態になっている。すべり台のてっぺんに座り、広瀬に電話をかけた。この時間、広瀬が部屋にいることは把握していた。これから、自分の本当の気持ちを伝えるつもりだ。遊び感覚ではなく真剣に。

 

(電話)
もしもし、俺。
あぁ松本。電話なんて初めてじゃない?どうしたの?
俺やっぱり広瀬のことあきらめられない。どうしようもなく好きなんだ。悩めば悩むほど広瀬に対する気持ちが大きくなって・・・つらいんだ。彼氏がいることは知ってる。でも・・・それでも好きなんだ。

 ケータイを持つ手が冷たい。でもそんなことはどうでもいいんだ。

(電話)
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・私、松本のこと好きだよ。
えっ?
友達として、とかじゃなくて・・・・・ホントに好き。

 いつもの声じゃない。細く、震えている。そのとき俺は、心臓が止まったような感じがして、おかしくなっていた。何も考えられなかった。

(電話)
私のこと言うね・・・。彼氏は、幼馴染なんだ。生まれたときから家が近くて、結構一緒に遊んだりしてたんだ。でも中学入ったあたりから、今まで幼馴染だったのが、好きな人に変わっていった。ずっと好きだった。それで同じ高校に入った。友達とか部活の人にいろいろ相談してやっと付き合えることができた。今でもその人たちは私たちを応援してくれてるんだ。でも最近彼氏とは、会ってもあんまり話さないし、メールもほとんどしてない。もう私のこと好きじゃないのかな?って思ってきた。そしたら松本が現れた。
うん。
急に告白してきて、正直戸惑った。でも松本がいい人だっていうのは伝わってたよ。
うん、ごめん。
それから、しゃべればしゃべるほど、松本のことがだんだん好きになっていった。でももう遅すぎたって思った。もしかしたら松本は私のことをもう、仲のいい友達としてしか見てないのかなって・・・。勇気ないから・・・私。今・・・壊したく、ないから。
大丈夫。壊れないよ。広瀬が俺のことそんなに想ってくれてたなんて、すげーうれしい。俺こんなに誰かを好きになったことないんだ。だから・・・泣かないで。

 広瀬が泣いていることは、途中から気づいていた。でもホントは、俺も泣いてたんだ。こんなドラマみたいなことあるんだな・・・これって略奪愛っていうんだっけ。でも乗り越えられる気がしてた。なんでだろう?たぶんこう思う。あのとき俺は、誰より広瀬のことを好きなんだ、って信じてたから。

 変わったことといえば、お互いを名前で呼ぶようになったこと。俺はアキと呼び、アキは朔ちゃんと呼ぶ。アキは彼氏と別れられないらしい。「親同士も付き合ってることを知ってるし、何より周りの応援がすごいから、裏切れないよ・・・。ごめんね、ごめんね。」と、涙ながらに言われたので、強引に別れさせることもできなかった。だから、俺たちは付き合っていなかった。ただ両想いなだけ。誰も知らない秘密の関係だった。

 次の出来事といえば、スキー研修だろう。
 俺はいつも朝学校に行くのが早いため、バスの座席は選び放題だった。前日アキに、「朔ちゃんのとなりの席がいいなー。とっといてくれる?」などと言われたため、通路を挟んでとなりの席をとってあげた。さすがにモロとなりの席に座ったら確実に疑われるからだ。
 俺にとって悪夢だったスキー研修は、帰りのバスだけ天国だった。なぜならとなりにはアキ。帰りのバスは、クラスのほとんどと言っていいほど寝るので、俺のとなりの鈴木はさっきから熟睡している。アキのとなりの友達も寝ているようだった。
 普段一緒に過ごす時間が少ないから、この時間は貴重だ。

 しかしこのときアキの思わぬ一面を知ることとなる。

私、中学のときいじめにあってたことがあるんだ。仲間はずれになったの。女子ってすごく怖いんだよ。目を合わせでもそらされるし、バスケではパスも回ってこない。一時期、クラスの誰とも話さなかった。担任の先生も相手にしてくれないし。しかもそのころ親ともケンカしてたから、なんか人生どうでもよくなっちゃったんだ。突然、自分の体を傷つけたくなった。テレビとかで見たことあるからやり方はわかってた。ここまで言えばわかるよねこのこと・・・誰にも話したことないんだ。朔ちゃんだから信用してるんだよ。

 考えもしなかったことに驚いた。アキが言っているのはおそらくリストカットのことだろう。俺はアキの明るいところしか知らなかった。もしかしたら、自分の闇を周りに隠すために無理に明るくしてるんじゃないか。そしてその闇を俺だけに打ち明けてくれた。
 気づいたときには涙が出ていた。アキがかわいそう、だとか客観的な哀れみではなく、最初から自分がアキそのもの、自分の過去のような感覚にとらわれていた。

あれ・・・ごめんね。こんな暗い話して。嫌いになった?・・・でも、私の全部を知った上で好きになってほしい。


 アキの彼氏とたまに廊下ですれちがうことがあった。むこうは俺のことを知らないだろう。つい見てしまう。俺の視線には、嫉妬というよりもむしろ、悲しみのほうが多く含まれていた。

 2月13日朝、アキは友達と楽しそうにしゃべっていた。するとアキは、すっと輪の中から抜け出し、こっちへやってきた。そしてきょろきょろ見回して小包を俺に渡した。

はい、これチョコレート。明日またスキー研修でしょ?だから今日渡そうかなって思って。あ、そうそう朔ちゃん、明日も座席お願いね。

 そう言って、小走りに輪の中へ戻っていくアキの背中を、ただぼおーっと見ていた。

 忘れもしない2月16日。放課後、ほとんどの生徒が帰るなり部活に行くなりしていた。今日俺は部活がない。だけど教室で遅くまで残っていた。アキが部活に行くため体育館に向かっていた。俺が学校にとどまっていた理由はこれだ。アキを追いかけた。そして体育館へと伸びる廊下でやっと追いついた。

朔ちゃん、どうしたの?
ちょっと話したいんだけど、いい?
いいよ。

 俺たちは廊下の真ん中で立ち止まり、壁に寄りかかった。

ずっと考えていたことがあるんだ。・・・・・俺はいつまでも彼氏に勝てないの?アキにとっての一番は誰なの?!

 それからアキは困惑したような目をした。

朔ちゃん・・・なんか変だよ。どうしたの?何をそんなに焦ってるの?
俺は・・・。

 足ががくがくと震えだした。こんなに緊張したこと、今まであったっけ。
 いきなりアキを抱きしめた。アキは一瞬身体をこわばらせたが、優しく俺の背中に腕を回した。

心配しなくてもいいよ。私が一番好きなのは朔ちゃんなんだから。

 すごい暖かい。腕の中のアキも、アキの言葉も。そういえば今初めてアキに触れたんだ。やっと両思い、ということを実感できた気がした。これまでずっと不安だった。焦っていた。でもこのとき、この上ない幸せを感じていた。

ありがとう。

どれだけこうしていただろうか。なぜかこの廊下を通ろうとする人は未だにいない。そのほうがありがたいのだが。

この先いきたいんだけど・・・。

 アキはすぐにこの言葉の意味を理解し、コクリとうなづいた。どれだけこのときを待ち望んだか・・・。
 軽く、触れるだけのキス。まるで扉をノックするような。宙をさまよい行き場を失くした互いの唇は、もう一度、引き合わせたかのようにつながった。アキとの初めてのキス。

私、まだ彼氏とキスしたことないんだけどな。

 勝ち誇ったようにアキの髪をなでる。アキが上目遣いで俺をうかがう。

最高にかわいいよ。

 アキとのキスは数え切れないくらいたくさんした記憶がある。それも色んな場所で。でもそれら全部を思い出してみても、どれも人目につかない場所で、だった。それはやっぱり、俺たちは付き合っていないから。単に両想いなだけ。もし誰かに見られでもしたら、すぐに噂になる。もしかしたらあいつら付き合ってるんじゃないか?!みたいに。そうなって困るのはアキなんだ。俺がかばってやることもできない。こればっかりは仕方がないんだ。俺に出来ることといえば、このギリギリの綱渡りを一緒に歩くことくらいだった。
 キスというのは、してる最中は夢中だ。目を閉じると、相手のことしか考えられなくなる。今このときを楽しむのに精一杯だ。目を開けてみるのもいいかもしれない。そこには新しい世界、普段見ることのできない世界が待っている。唇を離すと途端に寂しくなる。そしてまた求める。そのときの"間"も、古典的に言えば"いとあはれ"だ。俺はキスが大好きだ。というか、キスしている相手が大好き、と言ったほうがいいのかもしれない。時間が止まっているような感覚、というのがいい。至福のときだ。
 今思うとこれは、俺たちに残された時間を確かめ合うための行為だった、と言ってもいいだろう。

私、もっと早く朔ちゃんと出会っていたかったな。ずっと一緒にいたい。ねぇ、朔ちゃん・・・大好き。


 ここからの話は正直、早足すぎてあまり憶えていない。あ、そうそう、こんなことを言ったことがある。

アキ。これ以上自分を傷つけるのはやめてくれ。アキの周りの人たちのためにも、これからの自分の将来のためにも、そして・・・俺のためにも。自己中心的かもしれないけど、俺は、どんどん自分の傷つけるアキを見たくないんだ。中学のときは誰も助けてくれる人がいなかったかもしれないけど、今は俺がいる。できることなら、中学のとき、俺がそばにいたかった。支えたかった・・・。

 このとき俺は、アキの左手首を初めて見たんだ。絶句だった。驚きというか、悲しみというか、割り切れない気持ちで何も言葉が出なかった。そこには無数の傷があった。切り傷なんて陳腐な言葉で片付けられるようなものじゃなかった。きっとこの傷ひとつひとつに悩む苦しみが詰まっているんだ・・・。
 このとき以来俺は、いじめとか、そういう類のものに敏感になった。人は弱い。苦しくなったら自分の身をも投げ捨ててしまう。傷つけてしまう。

もうしないって約束してくれ。

 アキの左手を両手で覆うように言った。

うん。ありがとう。

 アキは泣いていた。このとき、この姿がかわいいと思ってしまったのは、やはり不謹慎だっただろう。

 3月、空き教室。
 もうすぐ1年生が終わる。

ねぇ、朔ちゃん。前から思ってたんだけど、二人でいるときの朔ちゃんとそうじゃないときの朔ちゃんって全然違うよね。
え?どんな風に?
ん~とね、なんか、落ち着いてるっていうか・・・穏やか?
え・・・普段俺そんなに落ち着きないの?
そういうわけじゃないんだけど、結構印象が違ったからね。あ、そうだ。優しい感じ!
ホント?でもね、アキの前だから優しくなれるんだよ。
そんなこと言って・・・。私以外の人の前で優しくしたら許さないからね!
もちろんだよ。そんなこと絶対ないから。じゃあ二人で約束しよ。俺が優しくするのはアキだけ。アキが優しくするのは俺だけ。いいね?
うん、約束。

 そう言ってにっこり笑ったんだっけ。

 2年生になり、クラスが替わった。アキは彼氏と別れたらしい。

 今では、たまに廊下ですれ違うことがある。でもお互い目を合わせることはない。話すこともない。メールも、電話もすることはない。スイッチを切ったかのように、もう二人は関わりあうことはない。

 1年の終了式。

朔ちゃん、元気でね。
あぁ、元気でな。

 冗談混じりで、まるでしばらく会えなくなるような言い方。このときの握手の感触が、今も手に残っている。
 アキは遠くへ行ってしまったのだ。いや、違う。もしかしたら俺が遠くへ行ってしまったのかも。

 この前、廊下でアキとすれ違った。目が合った。その瞳は以前と変わらず、かわいらしく、俺が誰よりも好きになった瞳。やはり、立ち止まり言葉を交わすことはない。

私は元気だよ。
そう、それは良かった。俺も元気だよ。

 そうか・・・もう一年経ったのか。あのときアキと出会って、色んなものをもらった。すごいあっというまだった。でも幸せだった。世界中探しても、あれほどの幸せは多分ないんだと思う。これから先、どんな恋愛をしても、俺の中ではアキが生き続けていると思う。

 アキ、ありがとう。

 

 

 


 

 

 

A・TO・GA・KI

↑「なんやコレ、ダッサイなぁ~」というツッコミには無視ですので(笑)

まぁ、というわけでNarratage無事に終わりました。

拍手~。

パチパチパチ・・・。

少ないですねぇ。

今ここ読んでいるってことはNarratage全部読んでるって捉えていいんですよね?!

そうですよね。

いや、あとがきを先に読むっていう変態さんが知り合いにいるもんでね・・・ちょっと心配になっただけですよ。

 

あのアキの「リストカット告白」のエピソードは、最後まで悩みました。

ホントにこれ入れていいんだろうか・・・。

ってな感じに。

でも今の世の中、「いじめ問題」が結構取り上げられてますよね。
 
Narratage読んで、誰かが少しでも何かを感じてくれればいいなぁー、と思っています。
 
 
 
感想やら苦情やら、なんでもコメントしてください。
 
去年の俺に対するツッコミでもかまいません。
 
それはそれでこれからの生き方の参考にしたいと思います。
 
ではみなさん、最後まで読んでくださってありがとうございました。


 



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 素敵だ…
文章上手いですね~
スラスラ読めちゃいましたww
何か切なくて…胸がキュンってしました笑
志奈 URL 2007/11/10 21:06 *edit
 >藤沢アキさん
実は「アキ」もかぶっているんですけど、まだかぶっているんですよ^^;
「藤沢」は初めて出来た彼女の苗字で、藤沢アキさんの本名の下の名前は前の彼女の名前でした(笑)
だからたぶん俺は藤沢アキさんのことが好きなんだと思いますww

今思うと過去の俺は最低です。
絶対友達にはなれないです。
でもそんなことを経たからこそ今の自分がいると思っています。
アキの「リストカット」を見たときも、今なら違う言葉で対応できます。
前の俺は、人の気持ちを無視した個人的正義の自己満足だったと思います。

女の子から素敵って言われると、最低2週間は張り切ってしまいますww

アキ、読んでくれてありがとう。
arizona URL 2007/10/24 03:42 *edit
 無題
図らずも同じ名前藤沢アキです(・∀・)←

語彙力が乏しいもので
感想を表す言葉が見つからなくてですね

見つかったのはこれだけ
『切ない』

泣ける とはまた違う。

でも素敵です。

あー

やっぱり泣く。←
最後の5行が本当に。

どうしよう
ってどうしようもないんですけど
何か
考えなきゃいけない気がしてきました
ちょっと自己見つめなおし期間に入ります

arizonaさん素敵。
ありがとうございます
藤沢アキ URL 2007/10/22 12:52 *edit
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1989/04/20
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音楽、読書、マンガ、チャリ放浪、などごく普通の趣味
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